2004年05月12日
まだ寒い週末

この元気な街のウイークエンドは瞬く間に過ぎた。金曜日から日曜日という短時間の記憶。その理由の一つは旧友トム・キーとの六年ぶりの再会と、彼と週末全部を過ごせたからだ。彼は一年ほど前にXWIREという会社を設立し、インテリジェントで高速なWiFiラウターを一人で開発した。この街に住んで三年という。そして彼にはアメリカへの帰還が月曜の朝に控えていた。

この週末、私たちは二つの美術展に出かけた。土曜日はKunstvlaai。街の西地区にあるWestergasfabrikというかつては水道管理施設があったと思われる場所だ。ここに「ちょっとおかしな」街のアーティスト達がオーガナイズした展示会で、斬新な表現や、オルタナティブなもの、笑える作品が古い煉瓦造りの建物の中と野外で見ることが出来た。それを見に来る人たちも千差万別。土曜の午後を芸術の周囲で過ごそうと、かっこいい老夫婦達や、若いクリエイティブなタイプ、乳母車を押す夫婦達がゆったりとビールを飲みながら創作を見に来る。ゴールデンゲートパークでの夏の昼頃やサンフランシスコのストリートフェスティバルに感じがよく似ている。
夕食と夜の散歩はトムと一緒に過ごす。今夜はリラックスモード。金曜の夜はThe Dolphins、Cafe Alto、Bull Dogなど、Leidse Pleinのすぐ傍にある街の住民と観光客がドッと繰り出すクラブを回った。聞いたことのない言語が耳の間を飛び交って時差ぼけのふらつきもあって猥雑なループのようにエコーした。この夜はまずインドネシア料理の店(アムステルダムには非常に多く、しかも美味い)から始まり、座って話せるクラブで過ごした。もちろん、夜中過ぎにはそのような店にもその夜の最初の店としてやって来るパーティアー達で満員になる。

日曜日。午後も早いうちにトムのフラットへ向かう。Leidse Pleinに近づくとAjax Amsterdamの熱狂的ファン達がこの日のゲームの試合のために駆けつけていた。家族連れも多かった。Ajaxの旗に身を包んだ女の子とその母親。赤と白のチームのシャツとスカーフでお揃いの小さな男の子と父親。ハイネケンのカンに吸い付いているやたらに背の高い兄ちゃん達の間を、私はMDレコーダーで歩き回った。試合開始は四時。お兄ちゃん達はあと二時間ぶっ続けでハイネケンを飲み続けるのだ。後に私たちはこの試合の大切さを知った。オランダのプレミアリーグ優勝者を決める試合。そしてAjaxはNAC Bredaを2-0で破り、優勝を決めた。
この日、トムはダニエルを紹介してくれた。明るい気性のオランダ人女性で写真家。街のすぐ外に住んでいる。私たち四人は大歓声がわき起こるLeidse Pleinを後にしてKunst Raiへと向かった。Raiはビジネスショーなどが行われるヴェニューで、このイベントは主にオランダ、ドイツ、フランスなどの主流ギャラリーが毎年開催するビジネスライクな展示即売会だ。上記の「変な芸術家達」によるKunstvlaaiはこのイベントのちょっとした肩苦しさを嘲笑したパロディーなのである。変なといえばKunst Raiで展示しているアーティストの中には意味不明の作品もあり、それほどの差があるわけではない事が判明した。すでに有名になって成功しているアーティスト以外は、幸運にも評論家やギャラリーの目に留まったか未だに留まっていないかだけが違いなのだ。
アメリカと違ってどこにでもアートがある。私たちにとって今はそれが一番嬉しい。
トムは台北での仕事をこなすため、パリ発の便に乗ることに決めたようだった。月曜日、早朝四時のパリ行きの列車に彼はトランク三つを抱えて飛び乗った。グッドラック!アムステルダムでは本当に世話になった。有り難う。
Posted by taro at 2004年05月12日 00:25