2004年06月21日
スイス人の誇り

「スイス人はとても『特別』なんだよ、」とカフェのオーナーは言った。バーゼルへ出発する前夜、ベルリンのある素敵なカフェにもう一度立ち寄った時だった。誇り高いスイス人を少々皮肉って表現したようである。私たちはバーゼルと、リヒテンシュタインとの国境沿いにある田舎町、ブークスに一週間滞在した。その間、私たちはスイスの人々はやはり特別だと感じたのだ。その感想に皮肉は込められていない。
この国が持っているのは、基本的に世界に知られる美しい風景だけである。資源と呼ぶべきものは木材以外にはない。彼らはスイスの国土を愛情をもって保護し、世代を通じてその価値を教育し、誇りとするに至ったのではないだろうか。もちろん、銀行や時計については誰もが知っている事実だが、それらは後に先見力ある国のリーダーたちによって戦略的に追加されたものだと考えられる。
今回訪れたブークスも雪を頂く山々に囲まれた美しい街だった。空気が美味い。小さな噴水が至る所にあって、街の人々はその水で喉を潤す。この水も冷たくて美味い。ここを訪れたのは、リンが地元の写真家、ジャック・レコウトレ氏とアート作品を一点共同製作するためである。

ジャックは、創作の間も私たちをアウトドアへと連れ出したかったらしく、二度ほど車でハイキングに連れて行ってくれた。実に美しい場所である。そんな場所へ行くのに街から車で坂をゆっくり登って三十分ほどしかからない。観光地化されていて幻滅することもない。あるのはアウトドアを楽しむ、主に地元の人々をビールとリンゴジュースとソーセージで歓迎する大きな屋台のようなレストランだけである。視界の内にあるものが、全て自然で健康で素晴らしく美しい。ジャックは、その森と牧場と小さな湖のある場所で育った。息子のヤンニックもジャックに連れられて毎週のようにハイキングをしながら育っている。
私たちがスイスの人々はやはり特別だと思ったのは、彼らの愛国心が国土とその自然への深い愛情を大前提としており、今もそれを貫こうとしていると感じたからだ。
そのスイス人も、現在のエネルギー資源やそれに関連する世界政治、地球温暖化などのグローバルな現象については極度に敏感である。思案深い表情でジャックは言った、「五十年後に石油は枯渇する。その時我々はどうするか・・・僕が最近絶えず考えているのはそのことなんだよ。」
Posted by taro at 2004年06月21日 11:55