2004年07月20日

UBのインナーシティーライフ

072404_building.jpg

市街を歩いてみる。外国人居住者たちの間で「UB」と呼ばれるこの街は、社会主義体制の廃墟がようやく活力を帯びてきたという印象がある。それでも基本的な社会構造には問題が多い。

第一、まともに歩ける道、あるいは真っ直ぐ運転できる道というものがあまり無い。道路や歩道に穴がぽっかり空いていて、車も人も迂回を繰り返すことが常である。雷雨の夜が明けた朝は至る所に大きな深い水溜まりが出来る。ゴミは平気で路上に捨てられる。大きな動物の骨が放置されて悪臭を伴うこともしばしばだ。真っ黒な排気ガスと砂塵で息が出来ない。マンホールがぽっかり空いていて、その中では男たちが朝っぱらから酒を飲んでいる。

072404_truck.jpg

ウランバートルという街のせいか、それとも肉の食い過ぎか、酒が入っているのか、男たちは非常に短気で、口論や暴力が至る所で見られる。主要道路の交差点で三人の運転手が車から出てきて三つどもえの喚き合い、そして殴り合い。昼間から酔っぱらった挙げ句、血まみれの顔でぶっ倒れている若者。女性への暴力や公然のセクハラも日常の出来事だ。

車の運転ともなると、男たちはあたかもティーンエイジャーが運転免許を取っていきなり何かの権力を獲得したかのような感覚で運転するものだから危険極まりない。見た限りでは信号の一部と一方通行以外に交通ルールは存在しない。歩行者を見ても一向にスピードを落とす気配がない。むしろ加速して威嚇しているようだ。従って、青信号だからと横断歩道に歩み出るのは命に関わる危険な行為に他ならない。

072404_rumage.jpg

これも社会主義体制崩壊後、市場社会へと急激に変化している不安定な社会の仕業なのか、それとも彼らが誇りに思うチンギス・カン以来の力の伝統なのか。気のせいか、男たちはみんな肩を怒らせているように見える。

モンゴルでは高度な教育を受け、キャリアをもつ女性が増えているという。ロシア人が残していった汚染の一つであるウォッカに溺れ、家庭内でも暴力を振るう男たちに愛想を尽かし、彼女たちは一人歩きを始めた。彼女たちの間では離婚も稀ではない。

そんな環境の中で、多くの家族たちが平和に、賢明に生き延びている光景も見られる。長く暑い一日の終わり、日が沈んで涼しくなると、近所の家族たちが部屋から出てきてアパートの玄関前に集まって来る。彼らがお互いを見る眼差しには大らかな愛情が感じられ、言葉を理解出来ない私にも伝わってくる。特に子供たちに対しては誰の子供であっても優しく楽しく接する大人が多い。彼らの間では家族というものが至上の宝なのだろう。

この街のインナーシティーはこれらの全てが混在する一見不思議なスペースだ。が、一歩引いて考えると、先進国や発展途上国を問わず、これらの光景はどこの国にもあることに気づく。おそらく私が文化面での多少の違いに気をとられ、錯覚を起こしているだけに過ぎないのだろう。

それにしても、この生活の臭いが強くたちこめる街中に少々疲れてきたことも確かだ。だから広大な草原へ行く予定を立てている。草原のただ中に住む人々の生活には興味があるからか、それとも人間の生活から離れて、だだっ広い草原の真ん中に座って朝日と夕日と星を見たいからか。それ自体を解明するのが楽しみだ。

Posted by taro at 2004年07月20日 01:31
Comments

Copyright © 2004, LynTaro. All rights reserved worldwide.