2004年08月15日

クリエイトする中国

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世界のニュースメディアを賑わせる中国。昨今中国関連のニュースのほとんどは経済、産業、そして政治の分野に限定されている。アテネオリンピックが開催されてから数日後経った現在、スポーツでもこの国の名前は頻繁に挙がるし、人文科学の分野ではその長い歴史とそこに培われた伝統文化が話題になる。ではモダンアートの世界ではどのような活動が行われているのだろうか。私たちは、北京の街のそこここで静かに、しかし着実に広がるアートシーンを垣間見た。

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北京の中央美術学院はその分野で中国のエリート校である。この大学のデザイン学科に限って言えば、毎年五万通にも及ぶ入学願書に対して新入生は五百人、つまり百倍の競争率だ。日本を含むアジアからの留学生も少なくない。学科は中国伝統美術からデジタルメディアに至るまで揃っているが、学生たちが意図する作品が専攻学科の範疇に限られるようなことはなく、あくまでも学生個人の創造性によってクリエイティブな活動が行われている。

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中央美術学院からそれ程遠くない辺りに、文化革命以来、人民工場地区として使われている場所がある。新たに建てられた高層住居ビルの間に、古びた小規模な工場が建ち並ぶ一帯だ。ここ数年加速化する製造業の発展の影響で未使用となったスペースを使って大小様々なアートギャラリーとアーティストたちのためのワークスペースとして使われている。壁には毛沢東時代のプロパガンダが意図的に残され一見不思議な印象を与えるスペースに、「自称共産国」とは思えない自由な表現に満ちた作品が展示される。作品内容も斬新だ。ヨーロッパのアーティストやキュレイターとの合同活動も活発に行われている。トレンディーでファッショナブルなカフェやレストランもあり、大変興味深い地域だと思った。

アート、特に現代美術は先進国の余力を表す分野でもあると私は思う。発展途上国にその力がないわけではない。が、一般的に発展途上国におけるアートとは伝統文化であって、新たなフォルムでの自己表現ではない。国によっては観光客相手のお土産レベルに留まっている場合もある。

中国の産業界は、欧米諸国からの生産依頼を低コスト高効率でこなす、いわば大規模な代行屋で、オリジナリティーとか創造性とは全く関係のないものだ。伝統美術においてさえ、中国の歴史上名高いマスターたちのコピーに終始していることが多い。一方、モダンアートで注目されるにはこの二つの要素は必須だ。私たちは、中国がこの分野でもいつ世界の熱い目が注がれてもおかしくない要素の数々を目の当たりにしたと同時に、先進国としての余力を蓄え始めた事実を目撃したようだ。

Posted by taro at 2004年08月15日 09:42
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