2004年11月18日

ムガルの遺産

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インドの北西部を走り回っている。リシケシからウッタル・プラデッシュ州のアグラへ。ラジャスタン州に入ってジャイプル、ビカネール、さらにジョドプルへと向かった。これらの街には15世紀から17世紀に渡って建造されたムガル帝国の遺産が残されている。世界で最も美しい建造物として知られるアグラのタージ・マハール廟。自分の目で見、手で触れた現物からはひんやりとした厳かなエネルギーを感じた。日本の木造建築の他に今まで見てきた歴史的な建物の中では最も圧倒的な美しさを持っていた。

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我々が目にするタージ・マハルの写真はどれも正門を抜けた直ぐ後に見える画である。足元から幾何学的なデザインの庭園と噴水が連なって廟本堂の正面に向かって続き、四本の尖塔がそそり立つその中央にムガル帝国第5代皇帝シャー・ジャハーンの妃ムムターズ・マハールの霊廟が静かな落ち着きを放ちながら、まるで瞑想を続ける高名な尼僧のように座している。タージ・マハルの名は「宮殿の冠」を意味するそうだが、正にその名にふさわしいと言えよう。

日の出の時間に入場したからだろうか、参道の土産店や絵葉書を押し付ける現地人も至って少ない。このユネスコ世界遺産を訪れる観光客はもちろん大勢いるが、タージ・マハル廟が視界に入ると皆沈黙に近い静かな心持になるようで、人数の割には静かに鑑賞することが出来た。

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この観光地に足を伸ばして良かったと感じたのは、その静かな環境だけではなく、壮大な建築物に物理的に近づいて絵葉書やポスターでは見ることが出来ないディテールをじっくり見れたことだ。ペルシャ語で書かれた聖なる文字、花や動物のモチーフなどは全てインド各地や中国、チベット、中近東から集められた28種の宝石や鉱石で彩られている。建造の主な素材として使われたのはラジャスタン産の大理石で、全てが文字通り正に虫の入る隙間も無く精巧に組み立てられ、全体的な美しさをかもし出す要因となっている。

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ラジャスタンに入るとムガル帝国が残した砦や宮殿の数はさらに多い。城砦は丘陵や小高い山の頂上近くには必ずと言って良いほど建てられていて、その中でも歴史的重要性や美術的な要素で知られるものが観光の対象となっている。そのうち、ジャイプル郊外のアンベール城、ビカネールのジュナガール砦、ジョドプルのメヘラーンガル砦を見回った。巨大な石を切り出して百メートルにも及ぶ高さの城壁を建て、その中に石製の豪華絢爛な宮殿と砦、さらに住居を兼ねた城が迷路のような設計で建てられていた。石工の精巧な技術は、どの砦や宮殿でも目を見張るものがある。ラジャスタンの人々は石を熟知していたようだ。

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各城砦には独特の顔がある。中でもジョドプルのメヘラーンガル砦は、今も現地のマハラジャが直々に管理と修復を行っているためかプレゼンテーションがすっきりとしていて味わい深い印象が残った。共通しているのはラジャスタン風の装飾だ。石、土、灰、鉱石、ガラス、そして鏡を使って天井や壁に幾何学模様、花や動物のモチーフを施すこの地方一帯の独特な内装法は、建築だけではなく服装や装飾品などあらゆる分野で使われている。エキゾチックなムードに溢れるインドとペルシャの文化とこの土地と気候にマッチしたの文化のフュージョンである。

ムガル帝国は息をのむような美しさと興味深い逸話を持つモニュメントを残した。私たちはこれらの遺産を通じて当時の人々がポエティックな芸術的才能、驚くべき数学や建築の技術を持っていただけではなく、これら全てを使ってひとつのものに融合する調和の精神と技も持っていたことを知る。これらが現在のイスラム文化を代表するものではないにしても、ムガルの遺産はその過去を通じて 理解に向けて何らかのヒントを授けてくれる。

Posted by taro at 2004年11月18日 02:45
Comments

インドの美しい写真と、懇切丁寧な説明に感謝します。歴史の古いインドに付いて貴重な勉強になります。

Posted by: ShizuoJinnno at 2004年12月19日 12:19

インドの美しい写真と、懇切丁寧な説明に感謝します。歴史の古いインドに付いて貴重な勉強になります。

Posted by: ShizuoJinnno at 2004年12月19日 12:21

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