2004年12月01日

スモッグの中の魅力

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インド最大の産業都市、アーメダバッドは公害と砂埃と騒音に満ちた街である。しかし、これらの要素を拭えば(それ自体容易なことではないのだが)その背後にはちょっとした魅力が隠されている。この街は、かつてインド独立運動の間、ガンジーが活動の本拠地としたアシュラムがあったことで知られている。その名は旧市街と新興市街を分けるサバルマティ川にちなんで名づけられたものだ。

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アーメダバッドはインド西部グジャラット州に位置する。この地域には独自の言語と文字があり、人々の多くはグジャラット語、ヒンズー語、そして英語をこなす。この州は近年、暗いニュースで世界に知られることとなった。2001年のマグニチュード7.9の大地震で州西部のクッチ地区とアーメダバッド市に大きな被害を及ぼした。そして2002年には、乗客列車の放火で59人の犠牲者を出した事件が、イスラム教徒はその犯人として非難された。それが元でヒンズー教徒とイスラム教徒との間で大規模な紛争が勃発。その結果、千人以上が死亡、大勢の住民は街への帰還を恐れているという。幸いにも現在のグジャラット州における治安は至って平穏である。

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グジャラット州は事業家が多いことでも知られる。この気質がグジャラットを経済的に潤し、国内で最も産業が盛んな州に押し上げた。その直ぐ北に隣接するラジャスタン州では観光が主要産業であるのに比べ、この興味深い西海岸の州では観光客などの外来者がほとんど見られない。そのためか土産商人などが少なく、人々はむしろ人懐っこくフレンドリーである。

アーメダバッド市内には驚くほどソフィスティケートされた要素が多い。州と街の経済的な潤いを反映しているからだろう。レベルの高いサービスと商品を売る店が多く、そのクライアントは主に現地の人々だ。「スワティ・スナックス」というレストランは清潔でモダンなインテリアで現地のお金持ちたちを魅了し、伝統料理をコンテンポラリーなプレゼンテーションで提供している。この店の上階には「360ギャラリー」がスタイリッシュな家具やアクセサリーを展示していて、そのスペースを使ったアート展示会も行われている。アップスケールで上質のブティックもある。「バンデージ」はデザイナーであるインド人女性が経営する伝統とモダンを融合させたファッションが売り物だ。トレンディーなエスプレッソバーが新興市街に点在し、若者や家族で賑わっている。「CGロード」と呼ばれる目抜き通りには世界のブランド商品や高級品を並べている店や、高級レストランが軒を並べている。

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それにしてもこの街の公害はもの凄い。インド国内で最も公害がひどいと言われ、アーメダバッドの魅力をそぎ落とす要因となっている。特に大気汚染はインドのみならず、この旅で訪れた場所の中では最悪である。主要工業地帯であることがその原因のひとつ。他の都市圏で発令された三輪タクシーによる灯油の使用禁止法はこの地域ではまだ存在しない。それに加え、夜になると住民はゴミや木材を自由に燃やす習慣があり、その煙が市内に充満する。(酷暑の気候では摂氏15度の気温も寒く感じるらしく、暖を摂るためにたき火をするようだ。)結果として生まれる極度の大気汚染は、街灯の下で濃い霧のようにみえる。風が無い日などは耐え難いほどで、常に交通が発する噴煙のたちこめる街へとリクショーに乗って出かける気にはなれない。

私たちはこのような環境でしばしば咳き込み、深刻な公害に驚きもし、困惑しながらもこの街のベストを見つけようとしている。

Posted by taro at 2004年12月01日 20:40
Comments

タロウさん、地震・津波の影響は大丈夫なのでしょうか?なにやらとんでもない規模の災害なので、ちょっと心配です。

Posted by: K at 2004年12月29日 11:07

Kさん、ご心配頂き有難うございます。我々は無事で元気でいます。新聞などで新たな情報を知るたびに我々のいた所には何故津波が来なかったのか、の方がむしろ不思議なくらいです。南インド最南端のすぐ西側にいました。西側でもすぐ南隣の漁村は跡形もなく、さらに北側でも被害、犠牲者が出ています。我々がいたビーチだけが例外だったような感じなんです。こうして46歳の誕生日を迎えることが出来たのが不思議でもあり、有難くもあります。

Posted by: Taro at 2004年12月29日 15:50

私がアメリカで付き合っているインド人とそちらのインド人と本質的に違いがあるのか、それとも同根なのか、太郎の文章を読みながら考えています。 我々日本人も含めて世界の人々が示すそれぞれの特徴は母国を離れるとどう変化するのか、興味あることです。

Posted by: 網野俊賢 at 2004年12月29日 20:51

私がアメリカで付き合っているインド人とそちらのインド人と本質的に違いがあるのか、それとも同根なのか、太郎の文章を読みながら考えています。 我々日本人も含めて世界の人々が示すそれぞれの特徴は母国を離れるとどう変化するのか、興味あることです。

Posted by: 網野俊賢 at 2004年12月29日 20:52

移民文化というのはある意味で本国よりも伝統的な色合いが濃くなる場合があると思います。同時に、西洋文化圏への移民は失うものも多いでしょう。

タイムズ誌の記者で、イギリスへ移民したインド人の両親の間に生まれ、後に両親と共にLA郊外へさらに移民し、同時にオックスフォードで教育を受けたというピコ・アイヤーというジャーナリストがいます。彼は奈良に住んでいますが、仕事柄年に100万マイルマイルエッジを貯めるような人です。その著作にはフィクションとノンフィクションがあり、優れたエッセイを書きます。「Global Soul」というエッセイを旅をしながら読みましたが、網野氏が疑問に思われていることに言及しています。非常に興味深い本です。移民である僕にも同感の点が多かったですよ。

Posted by: Taro at 2004年12月29日 22:56

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