2004年12月25日

熱帯のクリスマス

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「ゴアとケララ、あなただったらどちらへ行きますか?」アーメダバッドに滞在中、多くの人にこの質問を投げかけた。誰もがケララを推薦した。ケララ州はインド亜大陸最南端の西側に位置する熱帯地域で、アーメダバッドの人々が言ったように海岸沿いの地域は豊富な植物による緑、空と海のブルーが美しい。そしてここはココナッツの国だ。数日前までいた北インドとは気候も食べ物も全く違う。インドの多様性を目と肌で再び体験した。

ケララに外来の人々が訪れ始めたのは3000年も前だと言われ、商人や船乗りがスパイスや象牙を求めアラビア海を渡ってやって来た。16世紀、ヨーロッパ諸国の植民政策が始まると、ポルトガル、オランダ、イギリスが香辛料貿易の主導権を巡って争った。バスコ・ダ・ガマを代表とするポルトガルからの宣教師たちを受け入れ、キリスト教の影響も未だに根強く残っている。インドと西洋の融合が見られるユニークな文化がここにはある。芸術と教育に力を入れる州政策のお陰で、インドで最もプログレッシブな地域でもある。

私たちが最初にやって来たのはコヴァラムというビーチタウン。空港からダッシュボードにガネシャを祀ったプリペイドタクシーとマリア像のステッカーを貼った三輪タクシーを乗り継げばそれ程遠くはない。この宗教的なミックスはインド北部では見られなかったもので、インド文化の深さを思わせる。

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某ガイドブックによれば、1960年代にはヒッピー天国だったが今は寂れた印象を拭えないとあったが、実際に来てみると、多少の開発が進み値段もアップされてはいるものの、かえって静かにまったりするには絶好の小さな町である。「ライトハウスビーチ」と呼ばれる砂浜は、小さな湾の南側にある灯台から北に2キロほど広がり、海に突き出た岩場が北に隣接する「ハワービーチ」との境となっている。ビーチ前の歩道に沿ってホテル、レストラン、土産店が連なっている。インド古来の「アユルヴェディック法」によるハーブ薬店、マッサージやヨガセンターもある。海岸から丘に上る斜面はココナッツで覆われ、その中に現地の人々の住居、さらにレストランやホテルがある。

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ライトハウスビーチは休日前後のハイシーズンにはかなり賑わう所だが、その環境でゆったり過ごしていれば大して気になるものでもない。浜の砂質はきめが細かくしっとりとソフトで肌触りが良い。海水も滑らかで鮮やかなトルコ石の色に澄んでいる。波はタイの島の海岸に比べれて荒く、午後から高くなって波に乗って遊ぶにはちょうどいい具合だ。アラビア海の潮は水流が速くしかも強力で、しばらく浮かんでいるだけで深い沖へと流されてしまう。それはこのビーチだけではなく、近辺の海岸も同じらしい。そのため、ここでは常勤のライフガードが警官のような制服で頑張っていて、海に入る人たちに忙しくホイッスルを吹いている。赤道近くだけあって暑いが、穏やかな潮風が涼しく、何よりも空気が新鮮なのが有り難い。

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クリスマスのデコレーションは通常西洋や日本でも見るものもあるが、一般に大げさではなくひっそりと静かな飾り方だ。ケララでユニークなのは中が空洞になった紙製の星。表面にはパターンがくり抜かれているものもあれば、ホリデーシーズンのメッセージを印刷したものもある。中に電球を灯して天井や軒下に掛けるとほんわかとしたムードを醸し出し、波の音や海風とともにエキゾチックなクリスマスを演出してくれる。

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クリスマスの当日、朝から近辺の漁村の男たちが船を連ねてコヴァラムのビーチへと大挙押し寄せてきた。観光シーズンの盛りではあっても前夜までは静かだったビーチは大いに賑わう。彼らはこの湾で泳ぎ、水辺を走り回り、砂の上を転がり、アイスクリームを食べ、西洋人の若い女性をからかって(ここに限らずインドの男はどこでも同じで、欲情剥き出しの目を白人や日本人女性に投げかける)、一日中子供のように遊びまくった。聞けば、ごく近くの漁村に住んではいても、彼らがこうして一日中仕事をせずに遊ぶのは年に一度、このクリスマスの日だけだという。

アメリカのクリスマスシーズンは10月末日のハロウィーンが過ぎた翌日から本格化する。このクリスマス商戦が旗揚げすると、メディアはもちろん街のショッピングモールや商店街はこれでもかと言わんばかりのコマーシャルとデコレーションに染まる。そんな環境では嫌でもそれに応じなければならないような気分になってしまい、仕事とショッピング、パーティーに追われる忙しない生活を強いられることになる。今年の私たちのクリスマスは、それを全く感じることが無く、南インドのトロピカルな環境の中で静かに過ぎていった。正直言って、その方が良いのではないかと考えている。贅沢を言えば、家族や友人たち、近所の人々と祝いたかった。この休日はそのためにあるようなものなのだから。

Posted by taro at 2004年12月25日 15:02
Comments

太郎さん&リンさん
無事でなによりです。安心しました。

インドは熱帯クリスマスですか。ウィスコンシンは
極寒の...といったとこでしょうか。今年はアメリカで
過ごしたのですが、すごいですよね。アメリカ人のクリスマスへの気合の入れ方は...怖くてスーパーにもいけませんでした(笑)

太郎さんの視点から見た世界。これからも楽しみにしてます。

今年も健康に気をつけて安全な旅を!
そして世界が平和で穏やかでありますように...

Posted by: マサキ at 2005年01月03日 01:38

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