2005年09月25日
ホーム・アウェイ・フロム・ホーム

「Home away from home(ホーム・アウェイ・フロム・ホーム)というフレーズがある。「ホーム」がただひとつしかない自分の「家」だとすれば、「ホーム・アウェイ・フロム・ホーム」は、自分が住む家ではないものの、それと同じくらい心地よく、リラックス出来、馴染み深い場所を意味し、誉め言葉として使われる。日本は、同時に、私が住む北カリフォルニアから遠く離れた祖国でもある。私の故郷、京都に着いた9月15日以来この2週間というもの、「ホーム」という言葉に包含されるこれらふたつの意味は、実は、今のところはっきりと感じられないというのが正直な感想であると言わねばならない。
アメリカに移民してから28年間、日本へは幾度も来るには来たが、いつも1週間から2週間だけだった。今回の滞在は4ヶ月だ。これは、この地で何らかの形で生活をすることを意味する。どこに長期滞在するのも同じなのだが、日本でのテンポラリーな生活を基礎づける上でいろいろやらなければならないことがある。日本での一時的生活と他の国でのそれとの違いは、ここが、私が生まれ育った国であることだ。言語バリアーは無い。その反面、私は右も左も分からないという奇妙な状況に身を置くことになっている。電話線を引くにはどうすればいいか?インターネット接続を設置するには誰に連絡すればいいのか?京都の町中に出るにはどの駅でどの電車に乗り換えるのか?「燃えるゴミ」と「燃えないゴミ」の定義はどんなものなのか?どんな携帯電話サービスのブランドがあり、どんなサービスがあるのか?

私たちの食生活における変化も大きい。有機農法によって栽培された新鮮な野菜や果物が当たり前のように、容易に手に入る北カリフォルニアと異なり、そのような食材はここでは容易に見つからない。日本食を料理することには問題はないとしても、レパートリーの数は少ない。菜食主義者にとって、魚はオッケーだとしてもここでの外食は困難だ。さらに、感覚的そして現実的にも日本で外食する場合のコストは高い。一般に、生活費はかなり高いと感じている。日本の公共交通システムは素晴らしいし、世界的にも最先端である。車社会の悩みを熟知しているつもりの私たちとしては、出来る限りそんな公共交通システムを使いたいとも思うのだが、滞在している場所から京都や大阪へ出る度にかなりの出費をしなければならない、と感じてしまうのである。半日街へ出てみたり、雑用を済ませるために出かけると、交通費だけでも二人で合わせて2千円(アメリカドルで約20ドル)必要となる。近年アメリカ国内でのガソリン代は高騰しているが、セダン車を満タンにするのに30ドルから35ドルかかる。それを「べらぼうな値段だ」と嘆くような金銭感覚を持つ私たちにとって、日本の電車や地下鉄の運賃がいかに高く感じられるかを理解して頂けるだろうか。

私たちが住んでいるビルには50世帯以上が居住している。そしてこのビルは数十もの同じような建物群のひとつにしか過ぎない。僅か徒歩3分で最寄りの駅があるのだが、その駅の東側にこれらのマンションやアパートビルが、まるでドミノのように連立している。高速道路とそれからの出口、ショッピングセンターやスーパー、コンビニ、レストラン、アスレチッククラブ、そしてその他郊外都市での生活で一般に見られるさまざまなもの(もちろん、常に客でにぎわうマクドナルドやケンタッキーを含む)が、歩いて行ける距離範囲内に存在している。この13階から望めるそんな景色の中には、駅の西側に広がる田んぼもある。ちょうど緑から黄色へと変わりつつある田んぼは、宇治川へと広がり、私たちの目にはリフレッシングなものとして映る。
現時点では、日本での生活がどのようなものになるのか、少々考えあぐねている。一年間旅をした経験があるんだ、今のような状況もあったんだ、と自分達に言い聞かせる一方で、日本は私のホームでもある。グローバル・フュージョンというプロジェクトを実行する間、私は日本人としてのアイデンティティーを再確認したのではなかったか。それならば、この不安定さ、馴染み薄さ、浮いてしまっているという感覚は何なのだ?だから、今回の滞在における目標は、1978年以来不在だったことから何とかして抜け出して、新しい目で日本を見直せることだ。今までの数々の旅で、いつもどこでもそうしていたように。同時に、母国での時間を心から楽しみたい、とも思っている。
Posted by taro at 2005年09月25日 01:55太郎さん、変な国ですよぉ、日本って(笑)
きっと太郎さんがここにいなかった20数年の間に
日本は目まぐるしく変化したのだと思います。
いい意味でも、そうでないことも。
日本を「旅」という視点ではなく
「住処」という視点で見たら
太郎さんにはどんな風に映るんだろう...
私にはここが住処なんだと感じています。
今のところ...ですけどね(笑)
Happy Holidays,
Enjoy Inoda's coffee. R. Stones just finish awesome CA shows.
See you,
Posted by: Hitoshi Morita at 2005年12月14日 06:44